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物珍しさも手伝ってか、秋哉も冬依もそして鈴音も、トレーナーに指導されるままトレーニングに夢中になっていた。
しかしやがて、冬依がチラチラと春一に視線を寄越してくる。
夏樹が、
「鈴音のとこ行かなくていーのか?」
弟の気持ちを代弁して聞いてくるが、
「ん? ああ……」
春一は何故だか煮え切らない返事。
夏樹は、
「あれ、放っておいて、ホントーに平気なのかって聞いてんの」
再度問い正しながら送る視線の先には、
「すみません、私体が硬いんです。もう無理です」
「無理なんてことはないんですよー。しっかり柔軟しておかないと怪我につながっちゃいますからねー」
ストレッチする鈴音と、それを補助するトレーナーの姿。
あくまでもストレッチ補助なのだろうが、男のトレーナーは鈴音の体にベタベタと触れている。
「鈴音ちゃん、ほらガンバッテ。あとひと息」
「……」
名前呼びしているのも不愉快極まりない。
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