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夏樹は、
「あんなヤツと鈴音をふたりっきりにさせるなんて。実は俺、さっきからキレそーなんだけど」
「大げさだな夏樹は」
「大げさじゃねーよ。ただ肝心の春が黙ってるから、俺も冬依も、それから秋哉だって我慢してるだけじゃねーか」
無関心だと思われた秋哉も、
「うわっ、危っぶ――」
ランニングマシンに置いて行かれて転びそうになっている。
鈴音が気になって仕方ないようだ。
「……だな。じゃあ行くか」
春一がうなずいてやると、夏樹はあからさまにホッとした顔をした。
でも、
「夏樹、お前も来いよ」
春一が誘うと怪訝な顔をする。
「俺まで? 何で?」
「……」
返事をしない春一を、婚約者の余裕とでも取ったのか夏樹は、
「ちっ」
小さく舌打ちして、それでも春一の後をついてきた。
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