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この期に及んで余裕ぶっこく気かと、
「へぇ。俺が鈴音に教えてもいいの? さっきのトレーナーみたいにしっぽりやっちゃってもいいのか?」
挑発を重ねてみるも、春一は、
「お前この間まで栄養士の勉強もしてたじゃないか。夏樹ならマシンにも慣れているし、パーソナルトレーナーとして食事面からも鈴音のことを見てやれる」
至極真っ当な返事が返ってくる。
「あ、ああ……」
戸惑う夏樹に春一は背を向け、
「俺は地下に行ってくる」
「え?」
「知ってるだろう。俺はあっちばかりだ」
このジムの地下には、ボクシングエクササイズのフロアがある。
エクササイズと銘打ってはいるが、スポーツジムになる前はボクシングジムだったし、その名残で本格的なリングがちゃんと残っている。
その他にもサンドバッグやパンチングボール、夕方から夜にかけての時間帯には、ボクササイズ専用のトレーナーが来て、パンチングミットを持ってくれることもある。
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