桃パフェにマンゴープリン

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桃パフェにマンゴープリン

約束の時間、春一が夏樹のスマホに電話をかけると、 「春、桃パフェにマンゴープリン、ブルーベリータルトからの葛まんじゅうと竹筒ようかんまでいった。他に何が思い浮かぶ?」 いきなり聞かれた。 「……お前、熱があるのか夏樹」 別に夏樹は超甘党ではなかったはずだが、いったい何のラインナップだろう。 職場で出すデザート案にしても、ちょっとバラエティに富みすぎていて、とっ散らかったイメージになる。 ファミレスのデザートメニューにしても、もう少し統一感をもたせるだろう。 「ゼリー、とかでいいんじゃないか?」 甘い物が苦手な春一は、さっき夏樹が言ったどれも食えないので、せめて夏らしいデザートの名前をあげる。 といっても春一はそれぐらいしか知らないというのもあるのだが。 すると、 「それはもう秋哉と冬依が作ってみた。ボウルいっぱいのバケツみたいなゼリーだ」 「……バケツゼリー」 さすがにそれは、試食の気も失せる。 でもそこに弟たちの名前が出て来るのなら、 「鈴音は?」 夏樹は何故、来生家でスイーツに一番ふさわしい人間の名前を出さないのだろう。 「鈴音にリクエストはとらないのか?」 鈴音ならどれも喜びそうだ。 作るのも食べるのも。 すると夏樹は、 「その鈴音を飽きさせないために考えてんだろーが。春も知恵かせよ」 ……主導権は鈴音が握っているのか。
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