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足元から響いてくるサンドバッグを叩く音
元はボクシングジムでも、ボクシングエクササイズの流行のせいで、施設は綺麗だ。
数は少ないが、女性がサンドバッグを叩きに来ることもある。
だから鈴音を連れて降りることに抵抗はない。
なのに、夏樹はかなりの時間ためらっていた。
地下へ降りていく春一の背中が、なんとなく気に食わなかったせいもある。
鈴音と一緒に降りていいものだろうか。
しかし今日は鈴音と春一を会わせるのが目的だったはず、夏樹がひとりで春一と話すわけにもいかない。
結局、鈴音だけでなく、秋哉や冬依まで伴って、ボクササイズルームに降りていった。
ボクササイズの経験がない秋哉や冬依は、階段を降りているときから物珍しそうにキョロキョロしている。
足元から響いてくるサンドバッグを叩く音に、たまに肩をすくませたりもする。
夏樹は前にも降りているから下の様子を知っている。
階段を降りたところが広いフロアになっていて、壁際にはごついダンベル。
上のフィットネスルームにあるような2キロ3キロのカラーダンベルではなくて、片方20キロまでプレートを増やせる本格的なものだ。
その奥はサンドバッグエリア。
強面の門番が立つように左右に4つずつ天井からぶら下がっている。
サンドバッグの威圧を抜けたところに、四角いリング。
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