第10章 修学旅行と俺の○○

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簡単にお家に帰れるはずもなく。 俺は渋々千歳の隣を歩きながら自分達のクラスを目指した。 ちなみに俺達の後ろには、千歳に一目惚れしてしまったチワワ達や「隊長×会計様万歳!!」とか言ってる俺の親衛隊達が大名行列のように列をなしている。 親衛隊は放っておくとして。 一瞬にしてチワワ達の心を奪っていった千歳すごすぎな・・・? 千歳にも親衛隊ができちゃうかもな、これは。 なんて思っていると、見慣れた扉が目の前に現れた。 「・・・ここでお別れか。寂しいな。」 「授業終わったら会えるじゃん。」 「でも、ユキは生徒会室に行っちゃうでしょ?・・・ちょっとしか傍にいられないじゃん。」 「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」 「「エンダァァァァァァァァァァァァァァァァイヤァァァァァァァァァァッ!!」」 千歳がしゅん。と捨てられた子犬のような顔をした瞬間、後ろにいたチワワ&腐男子sが一斉に叫びだした。 もうやだ千歳。 イケメンの安売りするんじゃねぇよ!! 「も、もう俺は先行くから!!」 「うん。また放課後ね。」 バイバイと手を振る千歳に、また後ろのチワワ&腐d・・・めんどくさいから連合軍でいいや。 連合軍が沸く。 俺は突っ込むのもめんどうなので教室にさっさと入った。 「「おはよう、雪兎。」」 「はよ。葵、茜。」 「朝っぱらからすごかったねー。王子と姫の大名行列。」 「ねー。まさか“お姫様”が“王子様”に進化しちゃうとは。」 「・・・ちょっと待て。王子と姫って、千歳が王子で姫が俺なのか!?」 「「何を今更。」」 ねー。と言う双子に可愛いと思いつつ、自分が姫と呼ばれることにモヤモヤする。 なーんで可愛さの欠片もない平凡な俺が姫なんですかね。 解せぬ。 「・・・そういえばさ、今日のLHRって修学旅行の班決めだって!!」 「もうそんな時期か。・・・場所は?」 「大阪と京都だったはずだよ。」 大阪。 その言葉に、俺の肩が僅かに跳ねた。 「「雪兎?」」 「何でもない。」 何でなんだ。 何で、“アイツ”がいる場所に・・・。
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