第10章 修学旅行と俺の○○

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「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」 その日、学園中が黄色い声で包まれた。 理由は言わなくても分かるだろう。 俺の隣におわします、王子様へと成長した千歳様だ。 そりゃあ夏休み前は学園一の美少女(雪兎の変装がバレた後は2番目)だったはずの千歳が夏休み明けたらイケメンへと成長してるんだから誰だって叫ぶわ。 ちらりとお隣のイケメンを見ると、俺の視線に気付いたのかサービス過多なスマイルを俺に寄越してきた。 やめろ目が潰れる。 「あっ、あのっ!!雪兎様、お隣の方はいったい・・・?」 俺の目が潰れるのを防いでくれたのは、久しぶりに見る小鳥遊君。 チワワな彼は今の俺にとって目の癒しだわ、マジで・・・。 「千歳だよ?」 「・・・へ?」 「俺の隣にいるのは九条千歳。俺の親衛隊隊長で幼馴染だよ。」 俺がそう言った瞬間、 「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」 学園中に響き渡るレベルの叫びが廊下を埋めつくした。 うっ。 耳がっ、耳がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! 至近距離で叫びを聞いたため、若干耳の奥がグワングワン鳴る。 い、痛いぜ・・・。 「九条様、あんなに可愛かったのにここまでイケメンになるなんて・・・。」 「九条君、かっこいい・・・。」 「くっ。今まで会計様×隊長だったのに一気に隊長×会計様に落ちたわ・・・。」 「夏休み前より2人の距離が近くなってるんだけど、もしや一線越えちゃいました・・・?」 チワワ達が口々に千歳がかっこいいと言い出すので、俺は少し誇らしい気持ちになった。 ふふん、俺の幼馴染はイケメンだろう。 後、腐男子達よ。 俺達は一線なんて越えて・・・。 そこまで考えて、ふと思い出す。 ○ミケの帰り道の、あの出来事を。 俺、千歳と・・・。 「ユキ?どうしたの?顔赤いよ?」 「な、んでもない。」 赤くなった顔をふいっと逸らせば、 「「エンダァァァァァァァァァァァァァイヤァァァァァァァァァァァァァッ!!」」 嗅覚のいい腐男子達が叫びだした。 ・・・もうやだお家帰る。
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