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・千歳 side・
「「・・・ねぇ、“王子様”。ちょっといい?」」
放課後。
いつものようにユキを迎えに行こうとしたら、なぜか双子が僕の元にやって来た。
・・・え?
何で双子が僕目当てで来たの?
双子は親衛隊を嫌ってはないけど好きでもないってタイプだから、親衛隊隊長である僕に関わりたくないと思ってたんだけど。
てか王子様って何。
「何だって顔してるね。」
「うんうん。してるしてる。」
「俺達はただ聞きに来ただけだよ。」
「そうそう。雪兎のことを。」
雪兎、という単語を聞いただけで体に力が入る。
ユキに何かあったのか?
「あー。そんな心配そうな顔しないで。雪兎には何も起きてないから。・・・ただ、雪兎のことでちょっと気になることがあったんだ。」
「・・・僕が話せることは限られていると思いますが、それで良ければ。」
「「大丈夫だよ。」」
「で?何が聞きたいんです?」
「修学旅行で大阪に行くって言った時、微かだけど雪兎の肩が跳ねたんだよね。・・・雪兎にとって、大阪って何なの?」
ユキにとっての、大阪?
そんなの・・・。
「元々いた場所、じゃないですかね。」
「え?雪兎ってずっとここにいたんじゃないの?」
「いえ。ユキは小学生になる前までずっと大阪で暮らしてました。」
「・・・じゃあ、何で雪兎はあんなに強ばった顔をしてたんだ?」
双子の片割れの言葉に、僕の心臓は嫌な音を立てる。
ユキが未だ囚われている、ユキの過去がある場所。
ユキが行きたくないと思うのは当然じゃないか。
「・・・ごめんなさい、2人共!!僕、行かなきゃ!!」
僕はカバンを手に取ると、廊下に出る。
・・・あぁ。
今すぐユキを抱きしめたい。
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