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「あっ、来た来た!」
その時、声を張り上げてこちらに手を振る透子ママと――。
「お待たせ」
太陽は元より黒先や朝霧一家まで講堂前にいた。
「メイちゃん、遅い!」
中でも、来年この高校を受験するフウコの気合いは鬼気迫るものがあった。
「早く回らなきゃ時間がなくなっちゃうじゃない!」
「忙しない! 学校がなくなるわけじゃあるまいし」
ツユ子の言葉にフウコはぶーっ頬を膨らませる。
「何をやっていたんだ?」
太陽も機嫌が悪そうだ。
「だから、俺と一緒に出れば良かったのに」
ブチブチと口の中で呟きながら、さり気なくメイの隣に立つ。
「望月君は渚と一緒?」
朔の姿が見えないのでメイが訊くと、「そう」と答え、「で?」と訊ね返す。
「何をやっていたのかという質問なら」とメイの視線が灯里たちに向けられる。
「下宿人さんを連れてくるのに手間取っちゃったの」
「だって」と言いながらメイはどんなに大変だったか太陽に言って聞かせる。
「化粧とトイレと服ねぇ」
太陽がフッと笑みを零す。
「しかし、緩衝材とは上手く言ったものだ。見た目はそうでもないが、確かにお前はクッションみたいだ」
「ちょっ、ちょっとその目! セクハラ!」
カーディガンの前をキュッと合わせると、メイはキッと太陽を睨んだ。
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