06.そして、誰もいなくなった

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「あんたたち、何イチャついてんのよ! 早く朔のところに案内しなさいよ!」 灯里だ。 「かき氷をご馳走するって言ってたよ」 続けてフウコの声が届く。 朔と渚はクラスの有志で出店したかき氷パーラーの店員をしていた。 「あっ、講堂のNo.08……えっと、入って右の突き当たりです」 メイの説明で灯里たちは我先に建物の中に入っていく。 その背を見ながら「もう大丈夫みたいだね」とメイが太陽に微笑みかける。 「ああ、今日一日、この賑やかな人々の中にいたら完全に浄化されるだろう」 「良かった」 ほっと胸を撫で下ろすメイを太陽が眩しそうに見つめる。その視線を感じ、太陽を見上げながらメイは嬉しそうに灯里たちと瑠璃の会話を話して聞かせる。 「へーっ……と言うことは灯里さんたちは出て行くってことか。凄いじゃないか!」 太陽が驚いたように言う。 「別に私が何をしたというわけじゃないのよ。灯里さんと瑠璃さんの間でそういう話になったの」 自然の流れでそうなったとメイが説明すると、「その流れを作ったのはお前だ」と太陽が微笑みかける。 「鬼祓は前方支援で鬼を祓う場合が多いが、高位の鬼祓は後方支援で鬼を祓う。小梅さんはその第一人者だった」
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