06.そして、誰もいなくなった

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「そうだったんだ」 「お前もその血を受け継いだとみえる」 「でも、それだったら、今回の件は前方支援に当たるんじゃないのかなぁ」 疑問を呈するメイに向かって太陽が説明する。 「前方支援の多くは、しゃしゃり出ることを言う」 「どういう意味?」 「言葉通りだ。口は勿論、手も足も出す。そうやって説教じみた行為で鬼を祓う」 「一歩間違えば、要らぬお節介と取られそうだね」 「ああ、それと、時には力業で鬼を追い出す者もいる」 「何と野蛮な」 眉を顰めるメイに太陽が頷く。 「実力がない鬼祓だ。だが、高位の鬼祓は実にスマートだ。我々のようにな」 自画自賛っぽく聞こえないでもないが、惚れた弱みか太陽が言うと納得してしまうとメイは苦笑する。 「特に、お前のように気付かぬうちに自然と修正させることのできる奴は少ない。希少だと言って良いだろう」 「だが」と太陽が笑う。 「お前の作戦ではここに着いてからが本番だったんだろ?」 「そう。喜と楽の溢れるここなら鬼を祓えると思ったの」 「でも、蓋を開けてみたら、到着した途端、鬼はいなくなった」 「――そうだったの?」 ふるふるとメイは頭を振ると、「まだ、調子が戻っていないみたい」と弱々しく笑う。
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