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「流石、渚ちゃんだね」
「当たり前でしょう! 貴女たちとは気合いが違うもの」
ツンと顎を上げ、渚が鼻高々に言う。
納涼祭『ペア盆踊大会』の結果発表が夏期休暇後の今日、発表されたのだ。
その結果、見事、優勝に輝いたのは渚と朔のペアだった。
「それにしても、随分時間をかけて審査するんだね」
朔の言うのも無理ない。
「当然よ。校内に特別に設置されたビデオカメラで録画された、告白期間中、準備期間中、納涼祭当日の様々なシーンも審査の対象なの。審査委員はそれを全部見なきゃいけないのよ」
「えっ、じゃあ、僕も撮られてたの?」
朔がキョロキョロを辺りを見回しながら訊ねると、「当然!」と渚が首を縦に振る。「あっ、でも、そのビデオカメラはもう取り外されてるけどね」とその後すぐ付け加えた。
「おまけに期間中は、これまた特別に設置されたネットの口コミ欄に様々な口コミが寄せられるの」
「それも知らなかった。僕、どんなことを言われてたんだろう?」
「鬼を祓ってる場合じゃなかった」と朔が小さく呟く。しかし、渚にその呟きは聞こえていなかったようだ。
「大丈夫! 望月君の口コミは概ね好意的なものばかりだったわ。それもチェック済み」
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