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どんな理由で横断歩道を渡らないのか、彼女は時折現れるがそれは何故なのか、圭太は考えながら出勤してある事に気づいた。
「水曜日にしかいない……?」
確信はそんなに強くなかった。水曜日だと意識したのは初出勤と今日くらいだからだ。
圭太はこの日、仕事帰りに百円均一へ行くとカレンダーを買った。
家に帰ると圭太は買ったばかりのカレンダーを出し、今日の日付に丸をつけた。
それから圭太は今まで以上に曜日を気にするようになり、火曜日の夜はあの女子高生の事を思い浮かべながら寝るようになった。
別に恋心などがあるわけではない。彼女を見ると妙な違和感と共に切なさがこみ上げてくるのだ。
カレンダーをつけ始めて1ヶ月、圭太の推測は確信に変わった。
やはり彼女は水曜日だけに現れるようだ。
そしていつも手元の手紙と郵便ポストを交互に見ていた。
圭太はカレンダーをめくり、今日の日付に触れた。今日は水曜日だ。
「声、かけてみるか……」
圭太は意を決して声に出すと出勤した。
例の電柱を見ると彼女はやはり手紙を持って立っている。
「ねぇ、君」
声をかけると彼女はそっと顔を上げた。近くで見るととても可愛い。
「なんでしょうか?」
「水曜日になるとここに立ってるけどなんで?」
圭太の質問に彼女は首を傾げた。まるでこちらの言葉が分からないといった感じだ。
「……手紙、出さないの?」
この質問はダメだと思った圭太は、質問を変えた。
「ここから動けないんです」
彼女は困ったように笑いながら言う。
不躾だと思いながらも彼女の足を見るが、怪我をしているようには見えない。
彼女はしっかりと2本の足で立っている。
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