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圭太は複雑心境で手紙を開けた。
【樹くんへ
告白してくれてとっても嬉しかったです、でもごめんなさい……。
私は私のためにもお父さんのためにも、本気で好きになった人としか付き合えません。
樹くんが私のお父さんを苦手と思ってるのは仕方ないかもしれません。けど私は私とお父さんを幸せにしてくれる人でないと嫌なんです。
樹くんにはもっと素敵な彼女さんが見つかると思うので頑張ってください
冬花】
「原田さんに渡さなきゃ……」
圭太は朝食も食べずに着替えると、職場まで走った。
勢いよくドアを開け、息も絶え絶えにオフィスに入ると佐伯は目を丸くした。
「おいおい、どうしたんだよ?」
「すいません、後で」
圭太は目の前に立つ佐伯を押しのけ、原田の横に立った。
原田は圭太を気にすることなく仕事をしている。
「原田さん、これ見てもらえますか?」
圭太は原田のデスクに勢いよく手紙を置いた。
「これは……」
原田は震える手で手紙を手に取ると、圭太を見た。
「読んでください」
原田は圭太が言い終わらないうちに手紙を開けた。
「冬花……お前は……」
原田はその場に泣き崩れ、何度も圭太に礼を言った。
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