第4章 緊縛

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 広間に集められた中で主だった者達は、堀秀政、長谷川秀一、祐筆の松井友閑、馬廻り衆の高橋虎松、団平八、筒井順慶等。 「確かに絵が変わっておりまする。先程よりも生き生きと...…何やら、より地獄らしく……」 「並々ならぬ妖気。斯様な絵は今まで見た事はございませぬ。物凄い念が籠められているように思われまする。上様、近寄っては危のうございますぞ」  この場で一番年長者の松井友閑が忠告する。  しかし皆の顔が青褪める中、信長だけは少年のように目を輝かせ小躍りしていた。 「凄いぞ!どんな仕掛けか。絵の中に何か仕込まれておるのかのう」 「上様、これは人の手による仕掛けなどではなく、呪いのような力が働いているように思われまする。どうか御用心を」 「けっっ!たあわけらしい(馬鹿馬鹿しい)!呪いなんぞが効くなら、とっくに儂は呪い殺されておるわ! 」  比叡山焼き討ち、一向一揆の討伐等、老若男女を問わず何万人も撫で斬りにしてきた信長ならではの凄い説得力のある言葉だった。
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