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夜露が落ちて残した音色は
眠る想いを微かに透かして
瞳の外側を置き去りにする
ひとつの詩だけが繰り返す
私の心を問うように満ちて
忘れ難き言葉の海に溺れる
闇深まる時の祈りに触れた
温もりの亡骸は夏の夜の花
燃え尽きる約束と雨の行方
不機嫌な影を滲む愛が追う
靄と煙は揺れる命の風下に
灯と雲は薄れる熱を蟠らせ
君には見えない雫が零れた
夜露が消えて残した音色は
燻る想いを僅かに逸らして
瞼の内側を置き去りにする
ひとつの詩だけが繰り返す
強く儚い願いに触れている
ひとつの愛だけが揺り返す
閉ざされた扉の鍵を開いて
雫の跡を緩やかに冷ました
澄み渡る空に雲の影はない
雨の予感は響く詩に紛れて
夜の終わりに煌めく星屑が
映された感傷を包んでいく
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