あとがきにかえて

2/2
前へ
/6ページ
次へ
夜露が落ちて残した音色は 眠る想いを微かに透かして 瞳の外側を置き去りにする ひとつの詩だけが繰り返す 私の心を問うように満ちて 忘れ難き言葉の海に溺れる 闇深まる時の祈りに触れた 温もりの亡骸は夏の夜の花 燃え尽きる約束と雨の行方 不機嫌な影を滲む愛が追う 靄と煙は揺れる命の風下に 灯と雲は薄れる熱を蟠らせ 君には見えない雫が零れた 夜露が消えて残した音色は 燻る想いを僅かに逸らして 瞼の内側を置き去りにする ひとつの詩だけが繰り返す 強く儚い願いに触れている ひとつの愛だけが揺り返す 閉ざされた扉の鍵を開いて 雫の跡を緩やかに冷ました 澄み渡る空に雲の影はない 雨の予感は響く詩に紛れて 夜の終わりに煌めく星屑が 映された感傷を包んでいく .
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加