君へ

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夜を悲しみで塗り潰すほどに 雨を涙で上書きするくらいに どこまでも澄んだ蒼の感情が廻る 限りなく夜明けに近いこの世界で 止めどなく反芻する静寂と冷たさ 闇が頑なに言葉を遠ざけていく 星が誘うように悲哀は紡がれる 微睡みと覚醒を繰り返す孤独に 重なりと連なりを意識する時に ただ一滴だけ零れ落ちる温もり ずっと変わらずにあるその願いが こころの鎖を解きほぐしていく 当たり前のように灯る優しさに どうしようもないくらい救われる だから忘れないでいてほしい たとえ言葉で伝えられなくとも 何ひとつかたちに出来なくとも いつも君の幸せを祈っている 夜を悲しみが覆い尽くしていく 雨は遠く思いを掻き消していく 限りなく夜明けに近いこの世界で 落とした涙が星を紡ぐのなら 光の産声を兆す想いを飾る(うた)を 私はこの場所から見つめよう どこまでも続く同じ空の下から .
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