第3話 ジュラ紀の森

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 俺は再びカンプトサウルスに変身して、マキナさんと一緒に歩いた。空撮写真によると、川の下流に湖がある。そこへ向いながら探すことになったんだ。  川に沿って歩いてゆくと、確かに湖に出た。しかも、かなり広い。予備知識なしにここへやってきたら、海だと思ってしまうかもしれない。  岸に(わに)が群れていた。ゴニオフォリスだ。大きな口を開けて、日向ぼっこをしている。口周りを小さな翼竜(よくりゆう)(空を飛ぶ爬虫類で、鳥とコウモリの(あい)の子のような姿をしている)につつかれている者もいた。  俺は鰐に嚙みつかれないよう、遠巻にそれを眺めた。四次元ペンダントをつけていないか、一頭々々確認する。 「ツキはこの中にはいないみたいだけど……あれ、マキナさん?」  彼女は浜に停っていた。車内で緑色の光が点滅している。 「ああ、羽揺さん」  マキナさんがのろのろと近づいてくる。俺は動物に変身しているから、言葉が通じない。彼女は俺の身振とかその場の流れを見て、適当に返事をしてくれる。 「日差があたたかかったので、つい充電をしてしまいました」 「充電?」  首をかしげた俺に、マキナさんが説明する。 「私は太陽光で発電するので」  そういえば、そんなことも言っていたような気がする。  俺たちは岸に沿って歩いた。マキナさんが話す。 「昼寝(スリープモード)とは別ですよ。時間移動にはたいへんな電力が必要ですから、こまめに蓄えておかないと、すぐに電気を使い切ってしまうのです。百パーセントの充電でも、三回連続で時間移動をしたらすっからかんになります。私のような多機能の車輛では、なおさら電池の減りが早うございます」 「そっか。タイムマシンも大変なんだね」
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