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「Late Cretaceous (−80440081.045601), Japan (51°31′21''N, 127°66′33''E, 5.41m)」
「Late Jurassic (−140508726.895400), North America (28°3′62''N, 62°50′33''W, 75.33m)」
「Not Entered」
「上の段が出発地と出発時刻、中の段が現在地と現在時刻、下の段が目的地と目的時刻です。どうやら、過去の私たちは白堊紀の日本から来たようですね。着いたばかりなので、行先は未入力になっています」
映像が途切れた。
窓の外に目を向ける。過去のマキナさんから白いコパリオンが降り立ったところだった。
「ツキ。終ったよ」
千変鏡を座席の後ろに置く。ツキが鏡面に寄りかかって、人間に変身した。
「羽揺、マキナ。ありがとう」
少し眠ったおかげかな。だいぶ顔色がよくなっている。
「一件落着ですね。ああ、疲れました」
マキナさんが言った。直後、車内の灯りが消える。
「あら、もう眠っちゃった」
ツキが目を丸くした。昼寝が好きなんだな、と俺は思った。
「確かに、今日も一日頑張ってくれたからね……。家に戻る前に、五分くらい休ませてやりたいから、羽揺は外で待っててくれるかな」
マキナさんを降りる。ドアを閉める前に俺は尋ねた。
「散歩してきてもいいか」
ツキが頷く。
「でも、あんまり遠くには行かないでね」
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