第3話 ジュラ紀の森

19/22
前へ
/171ページ
次へ
「Late Cretaceous (−80440081.045601), Japan (51°31′21''N, 127°66′33''E, 5.41m)」 「Late Jurassic (−140508726.895400), North America (28°3′62''N, 62°50′33''W, 75.33m)」 「Not Entered」 「上の段が出発地と出発時刻、中の段が現在地と現在時刻、下の段が目的地と目的時刻です。どうやら、過去の私たちは白堊紀(はくあき)の日本から来たようですね。着いたばかりなので、行先は未入力になっています」  映像が途切れた。  窓の外に目を向ける。過去のマキナさんから白いコパリオンが降り立ったところだった。 「ツキ。終ったよ」  千変鏡を座席の後ろに置く。ツキが鏡面に寄りかかって、人間に変身した。 「羽揺、マキナ。ありがとう」  少し眠ったおかげかな。だいぶ顔色がよくなっている。 「一件落着ですね。ああ、疲れました」  マキナさんが言った。直後、車内の灯りが消える。 「あら、もう眠っちゃった」  ツキが目を丸くした。昼寝が好きなんだな、と俺は思った。 「確かに、今日も一日頑張ってくれたからね……。家に戻る前に、五分くらい休ませてやりたいから、羽揺は外で待っててくれるかな」  マキナさんを降りる。ドアを閉める前に俺は尋ねた。 「散歩してきてもいいか」  ツキが頷く。 「でも、あんまり遠くには行かないでね」
/171ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加