第4話 日本は海の底

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 視界が晴れると、辺りは夜になっていた。  空には三日月が出ている。その光が海面に反射して、波に揺れていた。  俺は水面の下を覗いた。はじめは、暗くて何も見えなかった。でも、だんだんと目が闇に慣れてくる。  海の中で光が群れをなしていた。発光するイカだ。もう少し深いところを黒い影が横切ることもあった。たぶん、夜行性のサメか何かだったんだと思う。  海上の岩陰に目を凝らす。翼竜が寄り添いあって眠っているのが見えた。 「あと五秒です」  マキナさんが言った。  空に光の塊が現れた。それより少し早く、マキナさんからドローンが飛び立った。  過去のマキナさんが翼竜の群れに突っ込む。翼竜が一斉に飛び立って、騒いだ。 「……どうして毎度ぶつかるんだ」  俺の呟きにマキナさんが反応した。 「きっと『時間移動をする時は停車しなければならい』ということを知らなかったのでしょう。起動してまだ日が浅うございますからね」  それって、人間と同じように失敗しながら学んでゆくということかな。自動運転車がそんな感じでいいのかな……?  車内前方に動画が映し出された。ドローンの撮影している映像を、マキナさんが受信したんだ。 「新生代の氷河期。場所は日本ですね」  過去のマキナさんが島影に隠れる。マキナさんはそれを見計らって、ヘッドライトを点けた。暗い海面が照し出された。  オドメーターには「999yr 362d」と表示されていた。  座席で伸びをする。ふと、ダッシュボードの上のノートが目についた。それを手に取り、声をかける。 「ツキ、終ったぞ」
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