妖怪とその敵

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「いただきます」  私はそう言ってお(はし)を持つ。  ご飯は、白米とお味噌汁。  そして魚など、日本風の朝ご飯。  私はお味噌汁に、口をつける。 「おいしい」  思わず私は声を出す。  いままで食べた中で一番おいしい。  ふと、天音の頬に(しずく)が伝う。  小さい頃は朝ご飯なんてろくに出してもらえなかった。  しかも、児童養護施設では年下の子にご飯を食べられたりと、あまりいい思い出はない。  なのに、こんなにいいご飯を出してくれたのは初めてで、1人で本当に食べていいのかと不安になる。 「どうした? まずかったか?」  高間さんはちょっと焦った様にそう私に聞いて来る。
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