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「バレンタイン向けのチョコレートですか?」
「ああ。
君の、最高に旨いと感じる物を作って貰いたい。
コストは気にしなくて良い。
値が張るならば、それなりの販路を確保するから。」
「自信満々なんですね。
何万もするものだったら、どうします?」
「俺に任せておけ。
最高の物が出来れば、いくらでも売る自信がある。
君は、何も考えず、良いものを作ってくれ。」
プロジェクトチームとしての仕事にはならないが、どうせアウトローな俺だ。
皆とお手々繋いで仲良く沈没船に乗る必要も無いだろう。
彼女に依頼して、十日程が経った頃、試作が出来たとの連絡が来た。
いつもの休憩所で皿に乗ったチョコレートを渡される。
見た目は繊細な葉っぱの形で、摘まむと折れて崩れそうだ。
温度に敏感らしく、室温では長く置けないらしい。
口に入れると、ふくいくたる香りが漂った。
そして、フワッと蕩けていく味わい。
これぞ、高級チョコレートといった感じか。
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