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「利佳子、これは君のだ。
君の味覚が認められたんだよ。」
初めての名前呼び、しかも、呼び捨てに彼女は目を丸くしてる。
「私は、何もしてないけど。
ヒットしたのは、全部大場さんの功績ですから。」
「いいや、君の技術と繊細な舌がなければ、製品化はなかったんだ。
何て素晴らしい人だろうか。
俺は、君の舌に惚れてるよ?
この数ヵ月、何度も会って話して、舌だけでなく、君自信に惚れた。
結婚を前提に交際してくれないだろうか?
いつも一緒にいたい。
君と共に一生歩んで行きたい。」
「えっ?!社長賞の興奮で血迷っているんじゃないの?
そんな大事なこと、一時の感情で言ったら、後で後悔するわよ。」
「一時の感情なんかじゃないよ。
ずっと思っていた。
俺はもう、36歳になる。
こんなオジサンは嫌?」
「嫌じゃないけど。
私だって、もう30歳になるし。
でも、ちょっと考えさせて。
今、すごく戸惑っているから。」
「うん。でも、早く返事が欲しいな。
今まで我慢してた分、早く君をこの腕に抱き締めたい。」
「ぎゃ、ちょっと待って。
せまって来ないでよ。
とりあえず、今日は帰って。」
抱き締めたいけど、つれない彼女の言葉で今日は退散する事にした。
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