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私は立ち上がり、急いで部屋へと戻った。玄関の中へ飛び込み、スニーカーを脱いで、部屋へと上がる。
久しぶりに走ったため、ひどい息切れを起こしている。私は激しく息をせっつきながら、洗面台の鏡を覗き込んだ。
そこにいたのは『以前』の私だった。
私はひどく落胆した。やはり先ほどの姿は幻覚なのか。
私は再度、部屋を出て、水溜りへと向かった。そして、覗き込む。
私は唖然とした。
水溜りには、再び『以前』のふくよかな私がいた。健康的な姿。
これは、なんなんだろう。
私は、首を捻った。不思議な現象だ。この水溜りだけ、映しているものが違う。
私はハッとした。アパート前に広がっている駐車場には、他にもまだ水溜りがある。それらはどうなんだろう。
私は、他の水溜りもチェックした。一つ一つ覗き込んで、中の『私』を覗き見る。
そして、部屋の真下の水溜り以外は、全て痩せた私、つまり『今』の私を映し出していることがわかった。
やはり、この水溜りだけが特別なのだ。
とても不可思議だった。どういう理屈だろう。
私はしゃがみ込み、しばらくの間、水溜りの中の私を見つめた。時折、人が側を通り、変質者を見るような目で、私に視線を向けてくるが、私は気にならなかった。
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