拒食症の私と水溜りと

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 人工的な水溜りが出来上がった。私は、ホッとしながら、それを覗く。  水溜りに映っていたのは『今』の痩せ衰えた私だった。私は悲鳴を上げそうになった。『以前』の私ではない。水をただ入れただけでは駄目なのか。雨が降らないと、水溜りは機能しないのか。  私はその場で顔を覆った。    その後、私は部屋で鬱々と過ごした。相変わらず、食べ物は胃に収められない。どうしても、吐いてしまう。ますますやせ細ってしまう。  午後になっても、私は死人のように、ベッドに横たわったまま、じっとしていた。何も考えられない。このまま死を待っているかのようだ。まるで即身仏である。  その私が飛び起きたのは、雨音が外から聞こえて来たからだ。  自分でも驚くほどの素早さで、窓際に駆け寄り、空を見上げる。雨がパラパラと降り出していた。やがて、木枯らしのような音と共に、雨はすぐに本降りになった。  私は狂喜乱舞した。これで、また『以前』の私に会える。私は嬉しくて堪らなかった。  しばらく時間を置いて、部屋を出る。目指すは水溜り。  傘を差し、駐車場に出て、私は水溜りを覗いた。     
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