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最も苦しいことは、雨が降らず、水溜りの水が干上がってしまうことだ。水道の水や、溜めた雨水では駄目なようで、直接雨が降って発生した水溜りではないと、『以前』の私には会えないのだ。
私は、雨の日が続くことをひたすら願った。
私は、今日も水溜りの前にいた。朝の内に雨は上がり、晴れ間が見え始めていた。天気予報では、午後からまた雨が降り出すとのこと。
私は水溜りに向かって、手を合わせて祈る。どうか、それまで干上がりませんように。水溜りの中のふくよかな私も、同じように祈ってくれる。
それに、明日から、連日雨続きらしい。つまり、この水溜りは、しばらくの間、安泰だということだ。
私はその幸運に悶えそうな喜びを覚えた。ずっと水溜りを覗いていられるのだ。
水溜りを覗き込み続けて、数時間が経ち、やがて昼になった。
これまで、水溜りの前にしゃがみ続けている私の横を、様々な人が通り抜けていった。主婦らしき女性や、散歩帰りの老人。昼間なのにうろついている男。主婦の方は、最近結婚したようで、何度か旦那らしき男性と歩いている姿を見かけたことがあった。老人の方も、奥さんと二人暮らしだったような気がする。男はおそらく、私の真下の部屋の住人だ。
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