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緩慢な動きで、ベッドから降りると、部屋の明かりを点けた。
LEDライトの白っぽい光が、ワンルームの部屋を明るく染める。
荒れ果てた部屋が浮かび上がった。脱ぎ散らかした服や、放置された本などが部屋に散乱している。見事な『汚部屋』だ。
しかし、汚部屋特有の、洗っていない食器や、空になった容器などは、全く見当たらない。そういったものは、今の私からは、生み出され難いのだ。
床に落ちている服を避けつつ、夢遊病者のようにふらつきながら、玄関横のトイレに入った。途中の壁に設置してある、洗面台の鏡には、目を向けないようにした。
用を足し、トイレを出る。そして、その時も、洗面台の鏡を意識しないように、通り過ぎようとした。
だが、意識しないようにすればするほど、体は勝手に、鏡の方を向いてしまう。何かにとり憑かれているかのように。
私は、鏡に映し出された自分の顔を見つめた。
痩せこけた頬。落ち窪んだ目。幽鬼のように白い顔。目の下の内出血は、嘔吐を繰り返したせいで出来たものだ。
鏡の中の無残な顔に、私は戦慄する。まるでゾンビだ。これが生きている人間の顔なのか。
私は、パジャマの裾を捲り上げ、上半身を露にした。
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