先生の部屋へ居候

2/27
16人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
先生の部屋に帰ったのは、わずか2時間後のことだった。 こんなに早く帰ってきてよかったのか。 でも塾は終わっちゃったし。 荷物はここにあるし。 私は先生の部屋の前で、10分悩んだ挙句、そっと玄関のドアを開けた。 短い廊下の奥に、先生の姿はない。 「先生?」 玄関に鍵も掛けず、どこかに行ってしまったんだろうか。 私は靴を脱ぎ、廊下をタタタッと小走りで移動した。 「よお!お帰り。」 「先生!」 人の心配を他所に、当の本人はキッチンで、水を飲んでいた。 「どうした?急いで入ってきたけど。」 私は深呼吸をすると、ううんと首を横に振った。 「ただいま、です。」 私がいない間に、先生がどこかに行ってしまったと思ったなんて口にしたら、先生はきっと大笑いするだろう。 そもそも、ここは先生の家であって、例え出掛けたとしても、私には関係のない話なのだから。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!