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「──おっ、お礼、したかったのっ」
「……俺何かしたっけ」
がーんっ、覚えていらっしゃらないっ。
すると今度はカライ君が何か思い出したように目をまん丸にして言いました。
「お礼なら、俺もアマイさんにしなきゃだ」
「べ、勉強ならいいよ? だってあたしは復習にもなる、し──」
「──じゃなくて、前に先輩に絡まれた俺を助けてくれただろ?」
「……ん?」
「覚えてねーんかいっ。目つき悪いとか態度悪いとか難癖つけられてさ、そん時アマイさん──カライ君は目が悪いだけでこういう目つきになっちゃうだけで先輩の事何とも思ってないんですっ、とかすんげぇ早口で言っただろ?」
……言った、ような?
と、ぽかん、とカライ君を見ていると、その顏はまた笑いました。
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