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ユイと僕
「エーン、またシュンヤくんにいじめられたの」
ユイはワンピースの裾を僕に見せて来た。薄いピンク色で胸のところに大きなチューリップの刺繍がある、ユイの一番気に入りのワンピースだ。そのスカートのところに3センチほどの茶色いシミがあった。多分泥でもつけられのだろう。
「どれどれ。あー、なんだこれくらい。ママに頼めばすぐに落としてもらえるよ」
「ホントに?」
「ああ。それに泣いてばかりいると、目がうさぎさんみたいに真っ赤になっちゃうよ。さぁ、もう笑って。ママにお願いしにいってみな」
「分かった!またね!」
ユイは赤い目をこすりながら無理やり笑顔をつくって走って行った。
(年長組に上がってから、シュンヤくんにいじめられてばかりだな)
ユイは母親に似て、黒目がちの大きな二重まぶたが特徴だ。色素が薄く、色白に加え髪も茶色味がかっている。しかし僕の低いだんご鼻を選んでしまったのは残念でもあり僕としては嬉しくもある。僕が思うにユイのチャームポイントは目ではなくて鼻だ。異論は認めない
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