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俺は振り向こうとする人面樹の左腕にあたる枝を左手でキャッチし、その根元に右の手刀を叩き込んだ。ちょうどさっきと鏡映しになるような格好だ。
「ちぇっさぁぁぁ!」
―― ばぎぃっ! ――
「グォガァァォォオ!」
左の枝をへし折られ、再び人面樹が吠える。
両腕を折られて頭にきたのか、それとも人間と同じように痛みを感じているのか、人面樹は幹全体を左右に揺らしながらジタバタと暴れていた。そして激昂した人面樹がこちらを振り向いたその瞬間――
「しぃぃっ!」
俺はやつの残った左目を掴もうとするかのように、その幹に向けて両手を思い切り突き入れた。
「ゴグァァッ!?」
鋭く放たれた諸手貫が上下のまぶたと眼球の間にずぶり――と滑り込み、手首まで突き刺さる。俺はそのまま腰を落とすと、ドッジボールほどもある目玉を抱えて眼窩から抉り出した。
「ゴガァァーーーッ!」
両目を潰され、完全に視界を奪われた人面樹が半狂乱で暴れ回る。俺は巻き込まれないよう少し距離を取り、残った2匹のほうを警戒しつつ再び構えた。
「悪いがこっちも命がかかってるんでな、ちょっとえげつない技を使わせてもらったぜ」
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