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04.ある日 森の中 魔法使いの女の子に 出会った
目の前に魔女がいた。
ほとんど黒に近い紫色のローブとつばの広いとんがり帽子、先端の丸くなった部分に赤い宝玉のはまった杖、どこからどう見ても魔女としか表現しようのない格好である。だが、2つだけ俺のイメージする魔女とはかけ離れた部分があった。顔と年齢だ。
目の前にいる魔女は白雪姫に毒リンゴを食わせそうな鷲鼻の老女ではなく、俺よりも少し年下と思われる女の子だっだ。しかも――かなり可愛い。
絵に描いたような美少女というのは、まさに彼女のような娘を指すのだろう。うなじの部分でまとめられた長い髪も、上等の絹糸のように艶がある。それに彼女はただ顔立ちが整っているというだけでなく、その佇まいからも喩えようのない知性と品性が感じられた。
「えっと、今のは君がやったのか? もしかして、俺を助けてくれた?」
声をかけてみたが、少女は答えない。びっくりしたような顔で、ただ目を丸くしていた。
「○っ□、○■▽□△●□●▽、▲□◎△□●□○□○◎▽●▲▽□?」
(ああ、そうか。この世界の人間にはこちらの言葉が通じないんだ。参ったな……どうやってコミュニケーションをとればいいんだ?)
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