04.ある日 森の中 魔法使いの女の子に 出会った

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 俺が悩んでいると、少女の左肩からひょっこりと顔を出す者がいた。さっき助けてやったあの妖精だ。 「○◎□▼、▽●■□▽。▽●■□■○□△◎▽△□▽□○■●」  妖精は少女の肩越しに何かを話しかけている。  もしかして、こいつがこの()を呼んでくれたのだろうか?   「▽っ◎○△○●っ▽●■。▲○、■■□○◎○△■▽。○■っ、△□△▲っ▽△▽▽□▼△○□……」  少女は聞き取り不可能な言葉を(つぶや)きながら近づいてくると、持っていた杖を俺の顔の前に掲げて、何やらブツブツと呪文のようなものを唱えだした。 (一体何をする気なんだ? さっき助けてくれたんだから害意はないと思うが……)    少女が呪文を唱え終わると同時に、杖の先にはめ込まれた宝玉が淡い光を放ち始める。そして宝玉の周囲によく分からない文字列が土星の環のように浮かんだかと思うと、それが帯状に伸びて俺の耳から頭の中へ入っていった。 「うぉっ! なんだ!?」 「ああ、ごめんなさい。驚かせてしまいましたね。あの……私の言ってること、分かります?」 「な……」  驚くべきことに、彼女は俺の母国語である日本語を話していた。いや、口の動きは全く別の発音をしているのだが、俺の耳にはそう聞こえるのだ。     
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