04.ある日 森の中 魔法使いの女の子に 出会った

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「今のは(こと)()の精霊、リンギスの力を借りて言葉を翻訳する魔法です。あなたのように異世界からやって来た人のために編み出されたものなんですが、どうでしょうか?」 「あ、ああ……ちゃんと分かるよ」 「よかった。初めて使う魔法だから少し心配だったんですけど……」  どういう原理かは分からないが、俺は彼女と意思の疎通ができるようになっていた。俺が日本語で口にしたはずの言葉も、ちゃんと翻訳されて彼女の耳に届いているらしい。 「それで、君は何者なの? というか、俺が別の世界から来たってどうして知ってるんだ?」 「ああ、申し遅れました。私の名前はティナ・ヴォクスターと申します。えっと、あなたのことを知っていたのは、お祖母(ばあ)ちゃんの星占いに出ていたからです」 「星占いだって?」 「はい、お祖母(ばあ)ちゃんに『今日、トレントの森に異世界からの漂流者がやって来る。困っているだろうから助けに行ってあげなさい』と言われたので来てみたんですが……」 「あたしがはぐれちゃったせいで、ティナは両方を探す羽目になっちゃったのよねぇ。っていうかアンタ、人に名乗らせる前に自分から名乗りなさいよ」  さっき助けてやった妖精が、ティナと名乗った女の子の肩にちょこんと座りながら言った。 「それもそうか。俺は燈真、神代燈真だ」     
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