04.ある日 森の中 魔法使いの女の子に 出会った

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「うーん……誰でも、というわけではありませんね。少なくとも魔物と戦えるような魔法を使えるのは、私たち魔女や一部の冒険者さんぐらいです」 「そうか、ちょっと残念だな」 「魔法を使うには、まず精霊と契約を交わさなければいけません。それに強い集中力を持って具体的なイメージを描く必要がありますから……それにはやはり長い修行が必要になるんです」 「なるほど、一朝一夕で使えるもんじゃないってわけか」 「ちなみにさっき使ったのは炎の精霊、サラマンダーの力を借りて火を扱う魔法です。ちょっとやってみますね」  ティナは俺の隣に立つと、後ろで倒れているトレントに向けて杖をかざし、呪文を唱え始めた。 「……の契約に(もとづ)き、我が敵を焼き尽くせ! ――ファイアボールっ!」  呪文の詠唱が終わると同時に杖の先が炎に包まれ、それが火球となって砲弾のように飛んでいった。さっき見たのと同じものだ。 「ゴァァァァァァァッ!」  火球が直撃したトレントはたちまち炎に包まれ、わずか1分足らずで焼け落ちた。  常識的に考えれば水分を含んだ生木、それもこれほどの巨体がこんな短時間で消し炭になるわけがない。この威力、どう考えても物理法則を無視している。  ―― ボフゥッ。 ―― (んんっ?)     
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