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「うーん……誰でも、というわけではありませんね。少なくとも魔物と戦えるような魔法を使えるのは、私たち魔女や一部の冒険者さんぐらいです」
「そうか、ちょっと残念だな」
「魔法を使うには、まず精霊と契約を交わさなければいけません。それに強い集中力を持って具体的なイメージを描く必要がありますから……それにはやはり長い修行が必要になるんです」
「なるほど、一朝一夕で使えるもんじゃないってわけか」
「ちなみにさっき使ったのは炎の精霊、サラマンダーの力を借りて火を扱う魔法です。ちょっとやってみますね」
ティナは俺の隣に立つと、後ろで倒れているトレントに向けて杖をかざし、呪文を唱え始めた。
「……の契約に基き、我が敵を焼き尽くせ! ――ファイアボールっ!」
呪文の詠唱が終わると同時に杖の先が炎に包まれ、それが火球となって砲弾のように飛んでいった。さっき見たのと同じものだ。
「ゴァァァァァァァッ!」
火球が直撃したトレントはたちまち炎に包まれ、わずか1分足らずで焼け落ちた。
常識的に考えれば水分を含んだ生木、それもこれほどの巨体がこんな短時間で消し炭になるわけがない。この威力、どう考えても物理法則を無視している。
―― ボフゥッ。 ――
(んんっ?)
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