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(つまり魔法を封じるには呪文の詠唱、もしくは起こそうとする現象のイメージを妨害してやればいいわけか。接近戦に持ち込んで口を塞いでやるか、頭にショックを与えるのが一番簡単だろうな)
ティナの話を聞きながら、俺はすっかり魔法というものを分析するのに夢中になっていた。
格闘技者としての性分だろうか、こういう目新しい技術を目の当たりにすると、つい自分がそれと戦うことになった場合を想定してしまうのだ。
「ねえ2人とも、盛り上がってるとこ悪いんだけど……そろそろこの森から出ない?」
リーリアがティナの肩の上でうつ伏せになり、呆れたような声で呟いた。
そうだ、こんな物騒な森に長居している場合じゃなかったんだ。
「ああ、そうでした! 魔法のことをこんなに熱心に聴いてくれる人なんて初めてだったから、すっかり肝心なことを忘れてました」
俺と同じように夢中で話し込んでいたティナもまた、はっとしたような顔で我に返った。
「とりあえず、私についてきてください。ここまで来ればもうすぐ森を出られますから」
「分かったよ」
「森を出たらすぐに私たちの住む町がありますから、詳しいことはお祖母ちゃんに聞いてもらえば分かると思います」
「君のお祖母ちゃんか……」
「ええ、私なんかよりずっと物知りですから、きっとトウマさんが知りたいことになんでも答えてくれますよ」
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