02.気がつけば不思議な世界

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02.気がつけば不思議な世界

 1  顔を上げると、そこは見渡す限りの草原だった。  地表に人工物らしきものは何一つ見えない。ただ青々とした草と、ほんのわずかな花。あとは地平線の向こうに岩山のようなものが見えているだけだ。  視界の上半分を占めるのは青い空と雲だけ。もちろんここにもビルや歩道橋といった、いつも視界に入ってくるはずの人工物はどこにも見当たらない。  振り返ってみると、背後には鬱蒼(うっそう)とした森が広がっていた。高さ5~10メートルはある樹が不規則に生えていて、これも人の手が入ったものではないのは明らかだ。 「どこだ、ここ……?」  俺は困惑していた。ついさっきまで住宅街のど真ん中にいたはずなのに、気がついたら写真でしか見たことがないような大自然の中にいたのだ。  怪我をしていないか体を確認してみたが、川に落ちたはずなのに服が濡れてもいない。先ほどの状況から今の状況に至るまで、何が起こったのか想像することすら不可能だった。 (夢じゃぁ……ないな。多分)  地面をつま先でドンドンと蹴ってみて感触を確かめる。     
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