千里眼

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私はA子さんに千里眼の助言を仰いだ事がありませんでしたが、学校にはA子さんの千里眼に助けられたという同級生や上級生が何人かいました。 私の友人のお姉さんもA子さんの千里眼に助けられたひとりです。 友人のお姉さんは当時、会社の事務員だったのですが、仕事で使う印鑑をおそらく自宅の中のどこかで無くしてしまったようで、どうしても見つからない事から途方にくれていました。 そこで、A子さんの噂を頼りに、ダメもとでお願いにいったらしいのです。 A子さんは快く事情を聞いて下さって、すぐにA子さんの部屋の畳の上で目を閉じたそうです。 そしてA子さんは言ったのです。 「お宅の一階には畳を敷いた部屋がありますね。その部屋の箪笥の向かって左後ろの畳と畳の隙間の所にお探しの物が落ちています。それから、二階の絨毯を敷いた部屋の箪笥にパンダの縫いぐるみが仕舞ってあるみたいですが、お家の皆さんの目の届く場所へ移してあげて下さい。パンダの縫いぐるみが泣いている姿が見えます」 私の友人のお姉さんは半信半疑でしたがとにかくA子さんにお礼をして、A子さん宅から十キロ以上も離れた自宅に帰りました。そして、A子さんに言われた所を早速調べてみたのです。 印鑑が確かにあった、という事でした。 A子さんの言うのと寸分違わぬ場所に、無くした印鑑があったわけです。 さらに、友人のお姉さんはA子さんに言われた通りに二階の絨毯敷の部屋の箪笥を調べてみたら、確かにパンダの縫いぐるみが出てきたのです。しかも、パンダの縫いぐるみは他の荷物と荷物の間に挟まっていて、本当に可哀想な状態で出てきたという事です。 そのパンダの縫いぐるみの事は、もう十年以上も忘れたままになっていたから、友人のお姉さんはとても驚きました。 もちろん、友人のお姉さんが、すぐにパンダの縫いぐるみを明るい場所に出してあげた事は言うまでもありません。 私の友人のお姉さんの他にも、似たような感じでA子さんに助けていただいた人達は大勢いました。
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