優しかった祖父の記憶 しかし私は知らなかった 祖父の冒険を

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優しかった祖父の記憶 しかし私は知らなかった 祖父の冒険を

  ゲホン! ゲホゲホ、ゲホン!  鼻が詰まってなかったら、きっとクシャミも連発したところだ。あたしはともかく本を閉じた。マスクをしてから開く方がいいと判断したからだ。  階下に降りると、玄関でママがエプロン姿で扉を閉めるとこに出っくわした。手に封筒をたくさん握っていたから、門のポストを覗いてきたんだろう。 「ママ、あたし宛ての手紙、きてる?」  サンダルを脱いだママは「んー」と言いながら、手紙の束をシャッフルする。 「フリッカ、……フリッカ。この2通がフリッカ宛て。オレンジの封筒はドミニク先生からね。相変わらず愛用の封筒で手紙をくれるのね。はい」     
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