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「菜々、いつまでも空ばっか見てないでもう出かけるぞ」
球輝がスニーカーの爪先で三和土を軽く蹴った。
これといった大きなイベントがないかわり、球輝といると心穏やかだ。今年長野のペンションを運よくおさえることが出来た。前々から私が行ってみたいと球輝に強請っていたところだ。
球輝はただの旅行と思っているのだろう。そこへ行きたいわけをうまく説明できないまま今日が来てしまった。車で行くという球輝に「私が電車代を出すから荷物を送って電車で行きたい」とわがままを言った。
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