拍子鳴

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女は何が何だか分からないまま店の奥に引っ込んだ。 「おい、店主はいるか」 女が引っ込んだのとほぼ同時に、制服を着、サーベルを帯剣した男が2人、店の扉を乱暴に開けた。 「はい、ここに」 「ここの店主と思われる人物が、若い女を連れ込んだという目撃情報があった。誘拐事件となり得る可能性もあるため、調査に来た次第だ」 「はあ、そうですか」 「なんだ、その反応は。さあ、女はどこだ」 「失礼ですが、貴方方は警察官様で?」 「そうだが」 「ですが、その制服は、警察のものではありませんが」 「なんだと」 「貴方の着ている制服と警察の制服は編み方が異なります。警察等政府関係者の制服というのは、編み方から素材まで全てが規定された物ですから、一般人が手に入れられるものはありません」 「…そんな無駄話をしている暇はない。婦女子の命がかかっておるのだ」 「私は今の今まで外出しておりましたが、それは約30分前。この時間でどうして命云々になるのですか」 「貴様、それ以上愚弄すると、帝国への反逆を示すぞ」 男の1人がサーベルをちらつかせる。
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