拍子鳴

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「それを言うならば、警察を騙り暴力を振るおうとしている貴方方こそ、帝国への反逆ではないのですか」 「貴様!」 サーベルを抜き、岩崎の首に突きつける。 「今度こそ答えなければ、その首、叩き落とすぞ」 「警察では、私刑は禁止では?」 「貴様!」 男が振りかぶる。岩崎の首に刃がかかる、その時。 「お前たち、何をしている!」 軍服にサーベルを帯剣した警察官の男が扉を勢いよく開けた。筋骨隆々、見たものが泣き出すような恐ろしい風貌の厳つい男だ。 先に店に居た男たちは顔色が瞬時に青ざめ、固まった。 「岩崎、お前が言うように30分後に店に来たが、この状況はなんだ!」 「本当にきっかり30分後ですね、小原さん。少しでも遅れていたら、私の首が飛んでいましたよ。流石に焦りました」 「ならもう少し焦った顔をせんか。さて…」 警察官の男、小原はは2人の男を睨め付ける。 「お前たちは何者だ?ああいや、答えなくて良い。署で詳しく聞こう」 「言っておきますが、ここは帝国のお膝元です。痛い目にあって、仮に御家の名前を出したとしても、揉み消されるのが落ちですよ?」 青ざめた男たちは、岩崎の挑発に怒髪天を突かれ、怒りに顔を真っ赤にし、小原にサーベルを構え、突進した。 「全く…」 小原はやれやれと云ったように首を鳴らすと、その巨躯に似合わぬ身軽な動きで2人のサーベルの一撃を躱した。そしてそのまますれ違い様に1人に肘鉄を背中に打ち、もう1人は鳩尾を蹴り上げ、昏倒させた。
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