Ⅰ オレの救世主はまさかの同じ教室内にいたらしい

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Ⅰ オレの救世主はまさかの同じ教室内にいたらしい

 教室の窓ガラスを執拗に叩きつける雨の音が、耳に心地よい。  ホームルームが終わり、クラス中にはどんよりと気怠い空気が漂っている。  オレは、口元がにやけそうになるのをどうにか抑えつけながら、神妙な面持ちを作って窓越しに灰色の空を見上げた。  奇跡、だ。  奇跡が、起きた……!  こんなこと、十六年間生きてきて、初めてだ。  オレは…………運命に、勝利したんだ!!  神様、仏様、キリスト様、その他そういう類のありとあらゆるもの。兎にも角にも、今日という決戦の日に雨を降らせてくださった偉大なる力の持ち主に、全身全霊で感謝の念を送る。  速水 俊は今、これ以上にないってぐらい猛烈に、貴方様に感謝しています。
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