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相合傘こそ雨の日最強のシチュエーションだと断言できるだろうか
やあ親友。
今日はやけに景気よく降っているね。
南国のスコールとは言わずとも、夏場によく聞くゲリラ豪雨を彷彿とさせる勢いだ。
グラウンドに降り注ぐ水の粒が砂をえぐりとって巻き上げているものだから、見てくれお気に入りの靴下は登校した時から泥だらけだ。
こういう時に限っておろしたての白地にかわいいキャラの靴下なんか履いているのも何かの縁なのか、あるいは朝食の餡子トーストに夢中でお天気お兄さんの忠告を無視したことへの天罰だったりするのか。
ただでさえ梅雨時の雨は気温の中途半端な高さと幾度かの寒の戻りに慣れた体のせいか他の季節に比べてどうも湿度に敵意を感じるというのに、朝からぬれた靴下ですごしたものだから私のテンションはダダ下がりというものだ。
そして君も負けず劣らずテンションが下がっているのは、ロッカーに常備している折りたたみ傘が見当たらなく、仕方なしに来てみたら思いのほか雨の勢い鋭くてこうして下駄箱の前で途方にくれていたからだろう?
どうして知っているのかって? いい質問だ。しかしいつまでも下駄箱の前にいるのもお互いに利なんかない。
ここはひとつ私と相合傘で帰ろうじゃないか。
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