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塗り替えられるイメージ
「先輩、なんで頻繁に来るんですか?
私、そんなに切羽詰まってませんよ」
先輩は、散らかった部屋を片付けながらこたえた
「ん?お前の事をもっとし知りたいなと思って
お前、小説作家と会わないだろ?小説のキャラクターイメージを
伝えるのが俺の役目
作家とイラストレーターの橋渡しになる俺がちゃんとお前に
イメージを伝える為にもお前の事、知っておこうかと思って」
「仕事に真面目なんですね」
バスケをしているイメージから頑張りやなのは、わかっていたが
男女共に人気のあるイメージがあり
きっとやんちゃなんだろーと思っていた先輩が
仕事に向き合う姿は、高校のイメージから
大人の社会人のイメージへと塗り替えていった
先輩が片付けを終えソファーに座り少し真剣な雰囲気で語りかけてきた
「仕事、一段落したか?こっちに座れ」
と自分の隣を指定してきた
前までなら緊張して座れなかった隣の席に
なれもあってか大人しく座れた
「こいつで次の新人賞狙おうと思うんだ」
そういって見せてきたのは、試作段階の小説だった
全くの無名作家
光屋文庫に直接持ち込んできたらしい
「持ち込んできた時に俺が担当したんだ。
荒削りどころか発掘さえもされてない正真正銘の原石だ。」
先輩が目をキラキラ輝かせながら少年の様に語らいでくる
「その子と私になんの関係が?」
先輩が重々しい雰囲気でこちらに向き直し
「塩むすび先生程のイラストレーターに頼むのは、失礼な事は重々承知です
ですが、この原稿を読んでみてください
先生ならこの作品の良さがわかるはずです
この小説の良さを最大限に活かせるのは、
先生のイラストだけです!」
初めて聞く先輩の敬語と重々しい雰囲気と口調にたじろいでしまった
「わかりました・・・・一度、読んでみますね」
おぼつかない手つきで原稿を受け取った
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