0人が本棚に入れています
本棚に追加
心躍る
仕事もひと段落したので先輩からもらった
小説の原稿を読み始める
まだまだ修正段階
日本語もおかしい、ページ数も多い
素人の私でもわかる
削れるところが山ほどある
この原稿が修正に修正を重ねてあのポケットサイズに
なるのだと思うと編集って大変だと思う
毎回、ここから読みとったキャラクターの詳細を
箇条書きにして私に渡してくるのだから神経がすり減りそうだ
荒削りだが本当に面白い
いままで誰の目にも触れてこなかったことがうそのようだ
時間を忘れてページをめくってしまう
まだまだかわいく10代が書く様な若々しい文章
はねるよな表現は作者が楽しんでいるのがわかる
イラストレーターとして発注をこなすだけの毎日だったが
小説と向き合うとこんなにも心が豊かになるのかと
心躍った
「ぷるるるる・・ぷるるるる・・はi」
「先輩!!小説読みました!!私、描きます!!
描かしてください!!この人との作品なら私のキャラが
活き活き動いてくれる気がします!!」
相手の声を聞くやいなや噛み付くように電話した
「うおおおおおおおおおお!!
本当か!?・・・・いや。本当ですか先生!?
俺と作家と先生で新人賞ねらいましょ!!
俺、本気ですからね!!」
「先輩、私を誰だと??私が本気を出して新人賞落とす訳ないじゃない!!」
深夜3時、ハイテンションな二人の会話
電話をきってから冷静になるとなかなか馬鹿げている
人とのコミュニケーションが苦手で編集者としか会わない事を条件に
イラストレーターになった私が
小説に心を奪われ大人げなく深夜に先輩に興奮を伝えるなんて
高校時代の自分がみたらきっと驚くだろう
今まで紙に書かれた指示書だけを頼って描いてきた
自分が手がけたキャラクターデザインに興味がないわけじゃない
アニメになったりゲームになったり
すごい事だと思う
ただ・・・・私の手元から離れた作品たちは、
嫁にいった様でもう私が口出しできないのだと思うと
どこか遠く感じた
最初のコメントを投稿しよう!