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第25話 キスして、抱いて、温めて
隣に深く腰掛けたあなたの膝の上に跨り、あなたの頬を撫でる。
サラサラの白い肌、長いまつ毛が煌めいているのを見て、綺麗だなとため息をついた。
あなたの額、瞼、頬と口付けていって最後に唇。
軽く触れる程度に口付けて、あなたの頭を抱え込む。
あなたは私の背中に手を添えて宥めるように、トントンと軽く叩く。
大丈夫だよと言われてるみたいで安心するそのあと、膝立ちで跨っていた私のお尻を自分の膝の上に下ろすようにあなたはポンポンと自分の膝を叩く。
何を言うでもないあなたのそれに従って座ると肩を抱いてぎゅっとしてくれる。
私も脇の下から腕を通して思い切り抱きつく。
静かで優しくてお互いに必要な時間がそこに流れていた。
「寒かったねー。」
そういうあなたは私の冷えてる足をさすったり背中をさすったりして温めてくれる。
その気持ちが嬉しくて、私もあなたがどこか冷えてないだろうかと探すけど頬が冷たい以外は発見できなかった…。
あなたにくっついていると温かくて安心。
「お風呂沸かしてくるね。」
そう言って私が立ち上がると私の後ろ手を引いてソファに戻す。
何を言うでもなく、私を後ろから抱え込む。
「あともうちょっと。」
起きたくない時も似たようなこと言うよね。
私もあなたの温かさに身を委ねて、あなたの手を握る。
本当に少しの間キュッと抱きついて、私を解放すると私の頭を撫でながら立ち上がって、私の代わりにお風呂の湯を張り始める。
私もその後ろについて行って、温度を確認した。
部屋に戻って、映画を見始める。
お気に入りのお酒を二人で飲みながら優しくて静かな時間がなお過ぎる。
お互いに何を喋る訳でもないけど、口をついて出た疑問にそうか、とかそうじゃないけどとか、何となく言ってみたり、主人公の一喜一憂を見て、納得したり、してなかったり。
否定とか強い言葉じゃなくて、こんな感じなんじゃないかなぁと柔らかくて角のない言葉が続く。
1時間ちょっとお酒を飲んでいたら
「お湯冷めちゃうし、お風呂入ろうか。」
そう言って、私の手を引いて立ち上がらせてくれる。
「なんでそんなに優しいの?」
私がそう尋ねると、あなたは疑問符を浮かべながら私に言う。
「え?何が?」
然もありなんと言わんばかりであるが、日頃手を引かれたりしなかった私にはこの感覚が新鮮で。
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