空母いずも

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この政策を快く思わない組織がある。 それが中国海軍である。 前国家主席の時代、中国海軍は 中国の海洋進出、貿易拡大による 経済発展の基幹として、 莫大な予算の元、防衛型海軍から、 外洋型海軍への脱皮を図った。 そのために彼らが進めてきたのが、 原子力潜水艦と 並んで現代海上兵器の最上位に位置する 原子力空母の建造だった。 2012年にウクライナから購入した 空母ヴァリアーグを空母遼寧として 完成させた中国海軍は、 米海軍に対抗できる空母打撃艦隊を 複数保有すべく、空母運用ノウハウの 獲得に努めた。 2018年に初の純国産空母山東を 就役させると、2021年には 通常動力型空母の完成形とも言える 空母広州が洋上にその姿を現した。 だがしかし、王政権によって、 膨張を続けていた海軍の予算は 大きく縮小され、空母建造は広州を最後に 打ち切られることとなり、海軍が構想していた 大型空母5隻による空母打撃艦隊5群編成の 夢は露と消えた。 2018年から20年にかけての米中貿易戦争で 中国経済が大きく傾き、大規模な 外洋型海軍の維持は不可能と判断されたためである。 そのせいで空母以外の戦闘艦や 戦闘機、ミサイルの更新・開発も 滞っている。 こうして、中国海軍は、海洋進出こそ 中国が発展する唯一の道であることを 知らしめんとばかりに 、 王政権に不満を持つ海外資本家や 貿易産業の支持を後ろ楯として 太平洋への進出を繰り返している。
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