統合戦術指揮官

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ITOは母艦艦長の元、艦の運航を 監督、指揮する副長と同等の 立場におかれ、戦闘機運用に関する 艦長の補佐、艦に乗り込んでくる 飛行隊との調整や訓練計画の策定などを 実施し、艦長不在の際は指揮下の 航空部隊を指揮する権限が与えられている。 謂わば「艦と戦闘機の橋渡し役」である。 「そのような大切な役割を私に?」 「そうだ。これから君には1年かけて 米海軍の航空母艦と航空自衛隊で 戦闘機運用に関する知識を身につけて もらう。来年にはいずもの改修が 完了する。それまでにやってもらわないと いけないのだが……できるかね?」 結城は一瞬躊躇の表情を見せた。 しかし、次の瞬間にはそんな様子を 微塵にも感じさせない鋭い顔つきに 変わった。 「もちろんです。慎んでお受け致します。」 自衛官は現代日本における軍人であり、 「やれるか?」と聞かれれば "やらなければ"ならない。 結城は人事課長に深々と一礼し、 エアコンの効いた快適な課長室を 後にしたのだった。
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