梅雨の日

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「え?」 折り畳み傘。 なっ・・・なんなのこいつ!! 「二つ持っていたの?なんで、最初からださないのよ!」 「え?市村さんと相合傘としゃれ込もうと思ってさ。」 海野君は、アハハと笑い飛ばす。 「も、もう!からかっているの!からかったのね!」 「そんなことないよ。幸せな時をありがとう。」 折り畳み傘をふんだくる。 「ちゃんと、返すから。ありがたく使わせていただくわ。」 海野君はニヤニヤしている。 「じゃあ、気をつけてね。」 「ばーか!」 なんなの、なんなの! なに、考えているのよ! ホームに向う途中、つい振り返る。 海野君は、それに気がついて手を振っている。 ふん。 私は、力いっぱい睨みつけるとホームに向かう。 もう一度振り返る。 海野君の背中が見える。 さらに私は、ムカッとした。 なんか負けた気になる。 からかわれただけなのかな。 なにか、心にチクリ。 私は海野君の背中を目で追い続けた。
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